【最新データ】建築設備士試験の難易度と合格率の推移:令和7年度の合格率15.7%から分析する近年の傾向と対策
建築業界において、2025年4月から始まった「全建築物の省エネ適合義務化」は、設計実務のあり方を大きく変えました。2026年現在、意匠設計と設備設計の連携は不可欠なものとなり、その中心的な役割を担う建築設備士の重要性はますます高まっています。
しかし、その社会的需要の高まりに比例するように、建築設備士試験の難易度は近年、上昇傾向にあります。特に令和7年度(2025年度)の試験結果は、多くの受験者に衝撃を与えました。
本記事では、最新の合格率データを詳細に分析し、足切りラインの傾向や各分野の具体的な攻略法を徹底解説します。これから受験を目指す方が、どのように学習を進めるべきかの指針としてお役立てください。
1. 令和7年度の試験結果分析:合格率15.7%の衝撃

令和7年度(2025年度)の建築設備士試験は、近年の難化傾向を象徴する結果となりました。
令和7年度 試験結果データ
- 一次試験(学科)合格率: 約25.4%
- 二次試験(設計製図)合格率: 約48.2%
- 最終合格率(対受験者数): 15.7%
これまでの最終合格率は、おおむね18%から20%の間で推移してきましたが、令和7年度は15%台まで落ち込みました。この数字から、建築設備士試験の難易度が一段階上のフェーズに入ったことが分かります。特に、学科試験における「足切り」の厳格化と、二次試験での「実務的な判断力」を問う傾向が強まったことが、合格率低下の要因と考えられます。
2. 過去5年間の合格率推移と難易度の変化

直近5年間の建築設備士試験の合格率を振り返ると、難化の流れがより鮮明に見えてきます。
- 令和3年度:20.3%
- 令和4年度:18.9%
- 令和5年度:19.5%
- 令和6年度:17.8%
- 令和7年度:15.7%
かつては「学科さえ通れば二次の製図試験は通過しやすい」と言われていた時期もありましたが、現在は二次試験の合格率も50%を下回ることが常態化しています。また、出題内容も「過去問の暗記」だけでは対応できない、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やBIM、最新の法改正を反映した問題が増加しており、建築設備士試験の難易度を押し上げる要因となっています。
3. 学科試験の科目別「足切りライン」の傾向
学科試験には「建築一般」「建築法規」「建築設備」の3科目があり、それぞれに基準点(足切りライン)が設けられています。合計点が合格ラインに達していても、一科目でも基準点を下回れば不合格となります。
- 建築一般: 環境工学の比重が高く、計算問題での失点が足切りに直結します。
- 建築法規: 建築基準法だけでなく、省エネ法や消防法など範囲が多岐にわたります。最も足切りによる不合格者が出やすい科目です。
- 建築設備: 電気・空調・給排水の3分野全てで一定以上の得点が求められます。
4. 二次試験(設計製図)が難化している背景
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二次試験は、単に「図面が描ける」だけでは合格できなくなっています。 令和7年度の試験においても、以下の点が厳しく評価されました。
- 要点記述の論理構成: 設備システムの選定理由を、建築士への助言として適切に言語化できているか。
- ZEB・環境配慮への具体性: 自然エネルギーの活用や高効率機器の組み合わせが、課題の建物用途に最適化されているか。
- 実務的な収まり: 維持管理スペースや更新性を考慮した配置計画ができているか。
これらの採点基準の厳格化が、合格率を抑制する一因となっています。
5. 2026年(令和8年度)以降の試験を突破するための分野別戦略
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難化する試験を突破するためには、各分野の特性に合わせた具体的な学習アプローチが必要です。
① 建築一般:物理現象の理解と計算の正確性
この科目の攻略には、丸暗記ではなく「なぜそうなるのか」という物理現象の理解が不可欠です。
- 環境工学: 熱負荷計算、湿り空気線図、日射遮蔽などは、二次試験の記述にも直結します。特に、壁体の熱貫流率計算などは確実に得点源にできるよう、演習を繰り返しましょう。
- 構造・材料: 設備機器の重量対策や、防振・耐震支持の考え方を重点的に学びます。これは現場の実務知識が役立つ分野でもあります。
② 建築法規:法令集の高速化と最新改正の把握
法規は「時間との戦い」です。足切りを回避するための最大の戦略は、法令集を引く回数を減らすこと、そして引く時間を短縮することです。
- 主要条文の暗記: 非常用の照明装置、排煙設備、給排水設備の設置基準など、頻出条文は引かずに回答できるレベルまで定着させます。
- 省エネ法・バリアフリー法: 建築基準法以外の関連法規からの出題が増えています。特に「建築物省エネ法」の最新改正事項は、一次・二次共通の重要項目です。
③ 建築設備(空調・給排水・電気):専門外分野の底上げ
自分の専門外の分野でいかに得点を拾うかが、建築設備士試験の難易度を攻略する最大のポイントです。
- 空調設備: 近年は「潜熱・顕熱分離空調」や「放射空調」などの高度なシステムも出題されます。基本の単一ダクト方式だけでなく、最新システムのメリット・デメリットを整理しましょう。
- 給排水衛生設備: 給水方式の比較、消火設備の設置対象、水質基準など、数値が問われる問題を確実に仕留めます。
- 電気設備: 強電だけでなく、LANや防災、BEMS(ビルエネルギー管理システム)などの弱電・通信分野を捨てないことが、足切り回避に繋がります。
④ 二次試験:図面作成と「技術的助言」の連動
二次試験対策は、学科試験が終わってからでは間に合いません。
- エスキスのパターン化: 建物用途に応じた標準的な設備構成をあらかじめパターン化し、どんな課題が出ても「DS(ダクトスペース)」「EPS(電気配管スペース)」の配置で迷わない訓練をします。
- 記述の「語彙力」を養う: 「省エネに配慮した」という抽象的な表現ではなく、「外気導入量のデマンド制御により空調負荷を抑制する」といった、技術的に具体的な言葉を使えるように準備します。
6. まとめ:難関化する試験に挑む価値
令和7年度の最終合格率15.7%という数字は、建築設備士試験の難易度が確実に上がっていることを示しています。しかし、これは裏を返せば、この資格を持つことの市場価値がこれまで以上に高まっていることを意味します。
2026年以降の建築業界において、省エネ性能を担保し、複雑な設備システムを統合できる人材は圧倒的に不足しています。この難関を突破して手にする「建築設備士」の称号は、あなたの技術者としての評価を、揺るぎないものにしてくれるはずです。
「今、この難しい時期に合格する」という決意が、最短合格への第一歩です。日々の学習の積み重ねが、必ず結果として結実します。あなたの挑戦を、心から応援しています。
