建築設備士の二次試験対策ガイド|講習会の解答例をフル活用するのがおススメ

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建築設備士の二次試験(設計製図)は、学科試験を突破した実力者が揃う一方で、合格判定は「評価A」のみという厳しい相対評価の試験です。令和7年度(2025年度)の合格率は44.2%と過去最低水準を記録しており、確実な合格には適切な準備とスケジュールの把握が不可欠です。

本記事では、試験元からは公表されない「解答例」の入手方法と、二次試験の軸となる講習会、そして合格に向けた具体的な実戦対策について網羅的に解説します。

1. 建築設備士 二次試験の試験内容と「準備講習会」が重要視される理由

建築設備士の二次試験(設計製図)は、一次試験(学科)で培った知識を、実務に近い形で「アウトプットする力」が問われる非常にタイトな試験です。まずは、その具体的な内容と、受験生が直面する大きな課題について整理します。

二次試験の構成と合格の条件

二次試験は、大きく分けて以下の2つの構成で実施されます。制限時間は5時間30分。休憩なしの長丁場です。

  • 建築設備基本計画(要点記述): 建築設備の計画に関する11問の記述問題です。省エネルギー、BCP(事業継続計画)、維持管理、更新性といった視点から、どのような方式を採用し、どのような効果を狙うのかを論理的に説明します。
  • 建築設備基本設計製図: 「空調・換気」「給排水衛生」「電気」の3つの部門から1つを事前に選択し、その部門に基づいた平面図や系統図、計算問題など5問程度の作図を行います。

採点結果は「評価A〜D」の4段階で判定されますが、合格となるのは「評価A」のみです。図面の描き漏れや、記述と図面の不整合といった致命的なミスが一つあるだけで、合格圏外に落とされる厳しい相対評価となっています。

公式な「解答例」が存在しないという壁

この試験の最も特殊な点は、試験元である建築技術教育普及センターから、具体的な図面や記述の「解答例」が一切公表されないことです。公表されるのは「採点のポイント(着眼点)」のみであり、受験生は「具体的にどこまで描けばA評価なのか」を自力で判断するのが困難な環境にあります。

対策の軸となる「二次試験受験準備講習会」

この「正解がわからない」という不安を解消するために、多くの受験生が軸に据えるのが、一般社団法人 日本設備設計事務所協会連合会(JAFMEC)が主催する**「二次試験受験準備講習会」**です。

この講習会が重要視される最大の理由は、配布されるテキストにその年度の課題に合わせた**「参考解答例」や「模擬問題」**が掲載されているからです。公式解答がないこの試験において、JAFMECが示す解答例は事実上の「合格基準」として扱われています。

つまり、二次試験対策とは、この講習会で示される「標準的な型」をいかに早く手に入れ、自分のものにするかというプロセスそのものなのです。

2. 昨年度のスケジュールと「前倒し」の必要性

二次試験対策を成功させる鍵は、一次試験の結果を待たずに動く「段取り」にあります。令和7年度の実績日程に基づいたスケジュールを確認しましょう。

項目令和7年度 実績日程対策のポイント
試験申し込み2月25日(火) 〜 3月14日(金)全てインターネット申し込み。
二次試験 課題発表5月23日(金)建物の用途が判明。実務資料の収集を開始。
講習会 申し込み開始6月12日(木) 正午〜**【注意】一次試験の10日前。**即日で定員に達する会場もあります。
一次試験(学科)6月22日(日)試験翌日には自己採点を完了させること。
一次試験 合格発表7月24日(木)この発表を待つと、二次試験まで残り1ヶ月しかありません。
講習会 受講時期7月中旬 〜 8月上旬全国で開催。配布テキストを主軸に対策。
二次試験(設計製図)8月24日(日)5時間30分の長丁場。
最終合格発表11月6日(木)「評価A」のみが合格。

申し込み時期の罠

最も注意が必要なのは、「二次試験受験準備講習会」の申し込みが一次試験(学科)よりも前に行われるという点です。「学科が受かってから申し込もう」と考えると、既に主要都市の会場は満席になっていることが多く、テキストの入手が遅れる要因となります。合格を期すのであれば、一次試験の直前期であっても講習会の予約時間を確保する必要があります。

3. 二次試験で理解すべき3つの実戦対策

講習会テキストや参考資料を入手した後、5時間30分でアウトプットできるようにすべき内容は以下の3点です。

① 建築設備基本計画(要点記述)

11問の記述問題では、自身の設計意図を論理的に説明する力が求められます。

  • 整合性の確保: 記述した内容と、作成した図面の数値やシステムが矛盾していないか。
  • 頻出テーマの網羅: BCP(事業継続計画)、ZEB(省エネ手法)、LCC(更新性・メンテナンス性)といった現代的な課題に対し、具体的な設備手法で回答する必要があります。

② 建築設備基本設計製図

選択した部門(空調・給排水・電気)のシステムを正確かつ迅速に描く力です。

  • プランニング(エスキス): 機械室やシャフト(PS/EPS)の適正な配置と面積。
  • 系統図の習熟: 過去の標準的なパターンを「写経(トレース)」し、迷わず描けるレベルまで作図スピードを上げる必要があります。

③ タイムマネジメント

試験時間は長いようで、記述と作図の両方を完成させるには非常にタイトです。

  • エスキス:45分
  • 基本計画(記述):1時間15分
  • 作図:3時間
  • 見直し:30分といった、自身に合った時間配分をシミュレーションしておくことが不可欠です。

4. 資格スクールの活用と費用の考え方

JAFMECの講習会を軸にしつつも、さらに手厚い指導を求める場合は、日建学院や総合資格学院といった資格スクールの利用も選択肢に入ります。

  • スクールのメリット: 独自の予想解答や、過去の合格者が実際に描いた「再現図面」を見ることができます。また、講師による添削が受けられるため、自分では気づきにくい図面の欠陥を修正できます。
  • 費用の目安: 二次対策コースは、Web講座で10万円前後、通学講座では20万〜35万円程度とJAFMECの講習会(約3万円前後)に比べて高額です。

実務経験が豊富で、JAFMECの資料から自力で「合格の型」を構築できる方は講習会を軸にし、製図に不安がある方や、第三者の客観的な評価が欲しい方はスクールの単発模試などを併用するのが現実的な選択と言えます。

5. まとめ:解答例が手に入りにくい試験への向き合い方

建築設備士の二次試験は、一般の書店で手軽に解答例が買える試験ではありません。だからこそ、以下の動きが合否を分けます。

  1. 5月の課題発表後、6月の講習会申し込みを確実に済ませる。
  2. 一次試験終了直後から、講習会テキストやスクール資料を基に対策を開始する。
  3. 「評価A」の基準となる標準的な解答パターンを、記述・製図ともに体に叩き込む。

解答例が見つかりにくいという環境は全員同じです。正しいルートで情報を集め、着実に準備を進めることが「評価A」への最短距離となります。

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