空気調和の概要(役割・分類・室内環境基準など)について解説します

空気調和とは、室内空気の温度・湿度・換気を制御し、快適な室内環境を保つことを指します。空気調和設備は、その目的を達成するために必要な機器やシステムを指します。

ここでは、空気調和設備の役割や分類・目標とする室内環境基準などの概要について説明します。

空気調和設備の役割

空気調和設備の主な役割は、室内環境を制御することです。具体的には、以下のような役割があります。

・室内の温度調節

・室内の湿度調節

・室内の換気制御

・室内の空気清浄化

空気調和設備がこれらの役割を担うことで、快適な室内環境を維持し、健康や生産性の向上につながります。

空気調和の分類ー保健用空気調和と産業用空気調和

空気調和には、保健用空気調和と産業用空気調和の2つの分類があります。

保健用空気調和

保健用空気調和とは、健康や快適性を考慮した空気調和設備のことを指します。主に、住宅やオフィス、ホテルなどの建物で使用されています。保健用空調の目的は、室内の温度・湿度・換気量を適切に調整することで、人々が快適に過ごせる環境を実現することにあります。

保健用空調の設置により、以下のようなメリットが得られます。

・健康的な室内環境の実現

室内の温度・湿度・換気量を調整することで、健康的な室内環境を実現することができます。

・作業効率の向上

快適な室内環境が実現されることで、作業効率の向上や疲れにくい体調を保つことができます。

・アレルギーの緩和

室内の空気を清浄に保つことで、アレルギーや花粉症などのアレルギー疾患の緩和が期待できます。

・温度・湿度をコントロールすることで、建物内の機器や設備の劣化を抑えることができます。

産業用空気調和

産業用空気調和は、工場や倉庫など、生産や物流などの業務を行う施設で使用される空調システムのことを指します。

産業空調を設置することにより、以下のようなメリットが得られます。

・快適性の向上

工場や倉庫での作業は、季節や天候によっては非常に厳しい環境で行われることがあります。産業空調を設置することにより、室内の温度や湿度を調整し、作業環境を快適にすることができます。これにより、作業効率の向上や労働者の健康維持につながります。

・品質の向上

工場での製造作業において、温度や湿度の変化は製品の品質に影響を与えることがあります。産業空調を設置することにより、製品の品質を一定に保ち、不良品の発生を防ぐことができます。

・機械の保護

工場で使用される機械や設備は、適切な温度と湿度を維持することが必要です。産業空調を設置することにより、機械や設備の動作環境を維持し、故障や劣化を防止することができます。

・エネルギーの節約

産業空調には、省エネ効果があるものもあります。例えば、高効率の空気循環システムを採用することにより、空調の電力消費を削減することができます。また、太陽光発電などの再生可能エネルギーと組み合わせて使用することで、エネルギーの節約にもつながります。

・環境の保護

産業空調は、室内の空気品質を向上させることにより、環境保護にも貢献することができます。また、省エネ効果のある産業空調を使用することにより、CO2排出量の削減にもつながります。

空気調和の目標となる室内環境基準

空気調和を行うにあたり目標となる室内環境基準が、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(略称:建築物衛生法)において定められています。

その中で定められている基準は以下になります。

項目 基準
浮遊粉じんの量 0.15 mg/m3以下
一酸化炭素の含有率 (令和4年3月31日まで)
100万分の10以下(=10 ppm以下)
(令和4年4月1日以降)
100万分の6以下(=6ppm以下)
二酸化炭素の含有率 100万分の1000以下(=1000 ppm以下)
温度 (令和4年3月31日まで)
(1) 17℃以上28℃以下
(2) 居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。
(令和4年4月1日以降)
(1) 18℃以上28℃以下
※(2)の規定について、変更はありません。
相対湿度 40%以上70%以下
気流 0.5 m/秒以下
ホルムアルデヒドの量 0.1 mg/m3以下(=0.08 ppm以下)

この記事のまとめ

空気調和とは何か?について概要を説明しました。

室内環境を快適に保つために重要な空気調和設備については、この後の記事で詳細に解説していこうと思います。

まずは、空気調和の目的をしっかり理解しておきましょう。