衛生設備

配管摩擦抵抗の計算方法|許容動水勾配Rから給水管径を決める

配管摩擦抵抗の計算書を見る設計者と弁・圧力計・上階シャワーへつながる給水管
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給水系統図を描いたあと、流量線図に流量だけを入れて管径を選んでいないでしょうか。候補管径の流速が低くても、長い配管や多数の曲がりによる圧力損失が大きければ、最上階の水栓やシャワーで必要圧力を確保できません。

管径を決めるには、給水元で使える圧力から、高低差、末端器具の必要圧力、メーターなどの損失を先に差し引きます。残った圧力を配管の総相当長で割った値が、配管1m当たりに許容できる摩擦抵抗Rです。候補管径の摩擦抵抗がこのR以下になるかを比較します。

この記事では、給水元250kPa、末端までの高低差12m、総相当長120mという説明用条件から、許容R=0.353kPa/mを求めます。さらに400L/minを流す場合について、比較用内径75mmと100mmをヘーゼン・ウィリアムス式で比較します。実際の設計では、計画地の水道事業者、採用管種の実内径、器具・メーターの仕様へ数値を置き換えてください。

この記事でわかること

  • 最も条件の厳しい給水ルートの選び方
  • 圧力収支から許容摩擦抵抗Rを求める計算
  • エルボや弁の局部抵抗を相当長へ換算する方法
  • 400L/minで75mmと100mmを比較する手順
  • 計算結果を系統図・平面図・機器表へ残す項目
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配管摩擦抵抗は使える圧力の中で配分する

水は、配管を通るだけで圧力を失います。管の内面と水との摩擦に加え、エルボで向きが変わる箇所、弁の内部、分岐や断面変化でも損失が生じるためです。上階へ送る場合は、高低差に相当する圧力も必要です。

給水元の圧力は、次の4つへ配分すると整理できます。

圧力の使い道図面・資料で確認するもの計算での扱い
末端までの高低差断面図、給水系統図、器具取付高さ1m当たり約9.80665kPaで圧力へ換算
末端器具の必要圧力水栓、シャワー、洗浄弁などの仕様書メーカーが示す最低必要圧力を確保
メーター・機器の損失量水器、逆流防止器、減圧弁などの仕様書設計流量時の損失値を加算
配管の摩擦損失配管長、流量、管種、管径、継手・弁残りの圧力以内に抑える

「摩擦抵抗は0.3kPa/mで計算する」と先に固定するのではなく、このルートで実際に使える残りの圧力から上限を求めます。給水元の圧力が低い、配管が長い、最上階までの高低差が大きいという案件ほど、許容できるRは小さくなります。

給水元から末端器具までに高低差・直管・曲がり・弁で圧力が減る給水ルート

水理計算は最も条件の厳しい給水ルートから始める

最初に、給水起点から末端器具までを一本のルートとして追います。給水起点は水道本管との分岐、受水槽の最低水位、増圧ポンプの吐出点など、給水方式によって変わります。末端は単に最も遠い器具ではなく、必要圧力を確保しにくい器具を選びます。

たとえば、配管距離が最長の1階散水栓より、配管距離は短くても高低差が大きく、器具必要圧力も高い4階シャワーのほうが厳しくなることがあります。次の候補を系統図で比較します。

  • 給水起点からの実管長が長い器具
  • 最も高い位置にある器具
  • シャワー、洗浄弁、自動水栓など必要圧力が高い器具
  • メーター、逆流防止器、減圧弁など損失の大きい機器を通る器具

最不利と判断したルートは、区間記号を付けます。A-B間は400L/min、B-C間は250L/minというように、各区間の流量、長さ、口径、局部抵抗を水理計算書と系統図で対応させます。判断が僅差なら、2ルートを計算して損失の大きいほうを採用します。

許容動水勾配Rを圧力収支から計算する

ここでは、次の説明用条件で計算します。

項目条件
給水元で利用できる圧力250kPa
給水元から末端器具までの高低差12m
末端器具の必要圧力70kPa
メーター・逆流防止器などの個別損失20kPa
直管実長80m
曲がり・弁などの相当長40m

高低差を圧力へ換算する

高低差12mに必要な圧力は、次のとおりです。

12m × 9.80665kPa/m = 117.68kPa

給水元250kPaから、高低差117.68kPa、器具必要圧力70kPa、機器損失20kPaを引きます。

250 – 117.68 – 70 – 20 = 42.32kPa

配管の直管摩擦と局部抵抗に使える圧力は42.32kPaです。ここが負の値になる場合は、管径を太くしても解決しません。給水方式、ポンプ揚程、タンク高さ、減圧区画などを見直します。

残りの圧力を総相当長で割る

直管80mに局部抵抗相当長40mを加えると、総相当長は120mです。

80 + 40 = 120m

許容摩擦抵抗Rは、配管摩擦に使える42.32kPaを120mで割ります。

R = 42.32 / 120 = 0.3527 ≒ 0.353kPa/m

水頭勾配へ換算すると0.3527/9.80665=0.03597m/mです。1,000m当たりの損失水頭で表す動水勾配Iは約36.0‰になります。計算書には、Rの値だけでなく、給水元圧力から何を差し引いたかも残します。

局部抵抗は直管相当長へ置き換えて足す

エルボ、チーズ、仕切弁、逆止弁などでは、流れの向きや断面が変わります。その損失を、同じ管径の直管何m分に相当するかへ換算したものが直管相当長です。

相当長は、採用する継手・弁の種類、口径、形状によって変わります。過去案件の一律係数をそのまま掛けず、設計で採用する資料の表を使います。手順は次のとおりです。

  1. 系統図と平面図から、最不利ルート上のエルボ、チーズ、弁、機器を拾う。
  2. 管径ごとに個数を集計する。
  3. 指定された相当長表または製品資料から、1個当たりの相当長を確認する。
  4. 個数を掛けて合計し、同じ区間の直管実長へ加える。
  5. メーターや逆流防止器を製品の圧力損失値で別計上した場合は、相当長へ重ねて入れない。

相当長方式と、局部損失係数を使う方式を混ぜると二重計上になりやすいため、計算書の列名に「相当長へ算入」「個別損失で算入」と明記すると確認しやすくなります。

許容R値とヘーゼン・ウィリアムス式で管径を比べる

次に、流量400L/minを流す説明用条件で、比較用内径75mmと100mmを比べます。流量は0.006667m³/s、流速係数Cは130とします。C=130は直管部分の計算に用い、局部抵抗はすでに相当長へ換算した条件です。

横浜市の現行指針に示されるヘーゼン・ウィリアムス式は、次の形です。

h = 10.666 × C^-1.85 × D^-4.87 × Q^1.85 × L

hは損失水頭[m]、Cは流速係数、Dは内径[m]、Qは流量[m³/s]、Lは管長[m]です。h/Lを求め、9.80665を掛けるとR[kPa/m]へ換算できます。平均流速vは、v=4Q/(πD²)で確認します。

許容R0.353kPa毎mに対して400L毎分の内径75mmと100mmを比較した計算図
比較用内径h/L摩擦抵抗R平均流速許容Rとの比較
75mm0.03714m/m0.364kPa/m1.51m/s0.353を約0.011超えるため不合格
100mm0.00915m/m0.0897kPa/m0.85m/s0.353以下なので合格

この条件では100mmを採用候補とします。75mmは許容値との差が小さく見えますが、許容値を超えているため採用しません。また、75mmと100mmは計算手順を示す比較用内径です。実案件では、呼び径を式へ直接入れず、採用管種の規格表で実内径を確認して再計算します。

50mm以下と75mm以上で摩擦損失式を使い分ける

横浜市の令和8年4月1日適用「給水装置工事設計・施工指針」では、口径50mm以下の給水管にウエストン公式、75mm以上にヘーゼン・ウィリアムス公式を用います。式の境界や使用する線図は、水道事業者の基準によって異なる可能性があります。計画地が決まったら、所管の最新版を確認します。

流速係数Cの扱いにも注意が必要です。横浜市の指針は、新管の管路全体について、屈曲部などの損失を含むC=110を示しています。一方、岐阜市の令和8年4月1日版基準は、屈曲損失などを別途計算する場合、直線部をC=130として計算できるとしています。

つまり、次のどちらかに統一します。

  • 管路全体をC=110で計算し、基準が含む局部損失を重ねて加えない。
  • 直管をC=130で計算し、エルボや弁の局部損失を相当長などで別に加える。

C=110で計算したうえで、すべての局部抵抗をもう一度加えると、基準の前提によっては二重計上になります。反対にC=130で局部抵抗を入れなければ、損失を小さく見積もります。採用した基準名、式、C値、局部抵抗の扱いを計算書の冒頭へ記載してください。

計算結果を系統図・平面図・機器表へ反映する

計算書だけを完成させても、図面の口径やポンプ機器表が古いままなら施工図へ誤った条件が渡ります。計算後は、少なくとも次の資料を同じ内容へ揃えます。

資料反映する内容
給水系統図区間記号、流量、管径、給水起点、最不利器具、高低差
給水平面図管径、管種、実管長、主要な弁・継手・機器位置
水理計算書給水元圧力、器具必要圧力、個別損失、相当長、R、流速、採用理由
ポンプ機器表設計流量、全揚程、給水方式、制御条件
衛生器具表器具型番、必要圧力、給水接続口径

変更時は、系統図の区間記号を起点に照合します。たとえばB-C間を75mmから100mmへ変更したら、平面図、立面図、貫通孔、PS内の納まり、バルブ口径、ポンプ選定を確認します。管径変更は圧力計算だけでなく、建築の梁貫通や天井内スペースにも影響します。

摩擦抵抗計算で間違えやすい3つの判断

流速が上限以下なら合格と判断する

流速は合格でも、配管が長ければ摩擦損失の合計は大きくなります。流速とRの両方を確認し、最後に末端器具へ必要圧力が残ることを圧力収支で確認します。

呼び径をそのまま内径として式へ入れる

同じ呼び径でも管種や肉厚によって実内径が変わります。特に摩擦損失は内径の影響を強く受けるため、管種の規格表またはメーカー資料で実内径を確認します。

メーター・弁の損失を二重に数える

製品資料の圧力損失を個別に加えた機器を、さらに相当長へ入れると二重計上です。水理計算書に算入方法の列を設け、各部材をどちらで扱ったかを一つずつ確認します。

建築・所管との調整は高さと管種が確定する前に行う

許容Rは、給水元の圧力と高低差で大きく変わります。水道事業者には、計画地で利用できる設計水圧、口径決定式、流速条件、メーター損失の扱いを確認します。水道直結部分の管材は、水道事業者との協議が必要になる場合があります。

建築担当とは、受水槽の最低水位、ポンプ設置高さ、最上階の器具取付高さ、PS寸法、梁貫通位置を早い段階で共有します。天井高さや床レベルが変われば静水頭が変わり、管径やポンプ揚程を再計算することがあります。管種が変われば実内径とC値も変わるため、仕様決定後に再確認します。

建築設備士試験対策|具体的な学習内容

第一次試験では、式の形だけでなく、流量・流速・管径・摩擦損失の関係を説明できるようにします。令和5年第一次試験の建築設備No.16では流体に関する記述が問われました。レイノルズ数は動粘性係数に反比例します。また、ダルシー・ワイスバッハ式では管摩擦損失水頭が流速の2乗、管長、管摩擦係数に比例し、管径に反比例します。

第二次試験では、与条件を同じ単位へそろえて機器表へつなぐ練習が必要です。令和6年第二次試験の選択問題B第1問では、受水槽最低水位から4階シャワーまでの高低差22m、摩擦抵抗60kPa、シャワー必要圧力150kPa、10%の余裕率が与えられました。

静水頭は22×9.8=215.6kPaです。必要圧力は、(215.6+60+150)×1.10=468.16kPa。全揚程へ換算すると468.16/9.8=47.8mとなるため、機器表には約48mと記入します。これは公式問題条件から算定した説明用解答であり、試験機関が完成解答例として公表した値ではありません。

学習するときは、次の順番を毎回計算用紙へ書きます。

  1. 給水起点と最不利器具を決める。
  2. 高低差をmまたはkPaへ換算する。
  3. 直管長と局部抵抗を合計する。
  4. 器具必要圧力と機器損失を加える。
  5. 余裕率を問題文どおりに適用する。
  6. 最後に機器表の単位へ換算する。

配管摩擦抵抗計算のチェックリスト

☐ 給水起点の圧力または水位を、所管回答・ポンプ条件・タンク最低水位で確認した

☐ 最も遠い器具だけでなく、最も高い器具と必要圧力が高い器具も比較した

☐ 末端器具の必要圧力を採用機器の仕様書で確認した

☐ 直管実長を系統図と平面図の両方で確認した

☐ エルボ、チーズ、弁、機器の局部抵抗を拾った

☐ C=110とC=130のどちらを使うか、局部抵抗の扱いとセットで記録した

☐ 呼び径ではなく採用管種の実内径で計算した

☐ 候補管径について流速とRの両方を確認した

☐ 系統図、平面図、水理計算書、機器表の数値を揃えた

☐ 計画地の水道事業者の最新版基準を確認した

まとめ|圧力収支から許容Rを求めて管径を比べる

配管摩擦抵抗の計算は、給水元で使える圧力から始めます。最不利ルートの高低差、末端器具の必要圧力、メーターや機器の損失を差し引き、残った圧力を直管と局部抵抗の総相当長で割れば、許容摩擦抵抗Rを求められます。

説明例では、残り42.32kPaを総相当長120mへ配分し、許容Rは0.353kPa/mでした。400L/minを流す比較では、内径75mmのR=0.364kPa/mは上限を超え、内径100mmのR=0.0897kPa/mは上限以内です。この結果を系統図、平面図、水理計算書、ポンプ機器表へ同じ区間記号で反映します。

実案件では、所管が指定する式とC値、採用管種の実内径、継手・弁の相当長、器具とメーターの損失値へ置き換えます。流速だけで決めず、末端器具に必要圧力が残ることまで確認してください。

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参考・出典

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