衛生設備

瞬時最大使用水量の求め方|戸数・人数・器具負荷単位の計算手順

瞬時最大使用水量の求め方 戸数・人数・器具から計算
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1日使用水量は計算できたのに、給水管やポンプを選ぶための流量をどこから求めればよいのか迷うことがあります。日量と瞬時流量は単位も目的も違うため、迷いやすいのも無理はありません。

瞬時最大使用水量は、ピーク時に同時使用される水量をL/minで予測した値です。この記事では、建物用途から算定方法を選び、共同住宅の戸数式・居住人数式、一般建物の同時使用水量比、事務所等の器具給水負荷単位を使う順番を説明します。読み終えると、計算条件を記録し、配管・メーター・ポンプ検討へ渡す流量を求められます。

この記事でわかること

  • 瞬時最大使用水量と1日使用水量の違い
  • 建物用途に合う算定方法の選び方
  • 共同住宅8戸・48戸・120人の計算例
  • 計算結果を配管・メーター・ポンプ検討へ渡す方法
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瞬時最大使用水量は配管・メーター・ポンプの流量検討に使う

建物内の水栓や便器は、すべてが一日中流れているわけではありません。一方、朝や休憩時間には複数の器具が重なって使われます。瞬時最大使用水量は、このピーク時の同時使用を見込んだ流量です。

集合住宅の給水本管からメーター・ポンプ・立て管を通り、複数の水栓とシャワーへ同時に給水する流れ
水量単位の例主な検討対象入力資料
1日使用水量L/day、m³/day受水槽容量、日量計画人員、面積、用途別原単位
時間平均流量L/h、m³/h受水槽への平均流入量1日使用水量、使用時間
瞬時最大使用水量L/min給水管、メーター、給水ポンプ戸数、居住人数、器具種類・数

日量を使用時間で割った値は時間平均です。給水管やポンプのピーク流量には、そのまま使えません。国土交通省の建築設備設計基準でも、給水ポンプユニットの給水量は、給水器具数による瞬時最大予想給水量と同時使用流量に基づいて算定するとしています。

建物用途と資料から瞬時最大使用水量の算定方法を選ぶ

最初に、建物用途と手元にある資料を確認します。同じ器具数でも、共同住宅、一般住宅、事務所では使用の重なり方が異なるためです。

建物用途、戸数・人数・器具表を確認し、算定方法を選んで瞬時流量を求め、給水管・メーター・ポンプ検討へ進む流れ
建物・資料主な算定方法計算の入口
共同住宅で戸数が確定戸数から予測する式ファミリー・ワンルーム別の戸数
共同住宅で居住人数が確定居住人数から予測する式計画居住人数
一般住宅・小規模建物同時使用器具の設定、同時使用水量比器具種類、器具数、器具流量
一定規模以上の事務所等器具給水負荷単位公衆用・私室用、洗浄方式、器具数

ここで示す式は横浜市水道局の令和8年4月版を例にしています。算定式、対象戸数、ワンルームの換算、負荷単位表は地域で異なる可能性があります。計算前に、設計地の水道事業者が指定する最新版を確認します。

共同住宅は戸数式または居住人数式で同時使用水量を計算する

横浜市の指針では、共同住宅の計画同時使用水量は、原則として住宅戸数または居住人数から予測する方法を使います。戸数と人数の両方が分かる場合は、実際の住戸構成を説明しやすい方を選び、採用理由を計算書へ残します。

8戸の共同住宅は10戸未満の式で約83L/minを求める

10戸未満では、次の式を使います。

Q=42×N^0.33

Qは同時使用水量(L/min)、Nは戸数です。8戸の場合は次の結果になります。

Q=42×8^0.33=約83.4L/min → 約83L/min

この戸数式は1戸4人居住を想定しています。単身者向け住戸が混在する場合、横浜市の指針ではワンルーム1戸をファミリータイプ0.65戸相当として扱います。

48戸の共同住宅は10戸以上600戸未満の式で約254L/minを求める

10戸以上600戸未満では、係数と指数が変わります。

Q=19×N^0.67

48戸の場合は次の結果です。

Q=19×48^0.67=約254.3L/min → 約254L/min

戸数が10戸の境界をまたぐと使用する式が変わります。表計算では、戸数条件と式を同じセルに埋め込むだけでなく、適用範囲を注記しておくと見直しやすくなります。

居住人数120人は31~200人の式で約190L/minを求める

居住人数が確定している場合、横浜市の指針では人数Pに応じて式を分けます。

居住人数P算定式
1~30人Q=26×P^0.36
31~200人Q=13×P^0.56
201~2000人Q=6.9×P^0.67

120人は31~200人の範囲なので、中央の式を使います。

Q=13×120^0.56=約190.0L/min → 約190L/min

居住人数を使う場合、ファミリータイプは1戸3人または4人、ワンルームは1戸2人が同指針の標準です。実際の計画人数があるなら、その資料名と確認日を計算書へ記載します。

一般建物は末端給水用具の同時使用を設定して計算する

一般住宅や小規模建物では、ピーク時に使われる末端給水用具を選び、その流量を合計する方法があります。台所、洗面所など使用頻度が高い器具を含め、建物の使われ方や需要者の意見も確認します。

器具の組合せを個別に設定しにくい場合は、標準化した同時使用水量を使う方法があります。

同時使用水量=末端給水用具の全使用水量÷末端給水用具総数×同時使用水量比

同時使用水量比は器具総数に対応する基準表から読みます。器具ごとの使用水量も、水道事業者の表または採用器具の仕様と照合します。表の数値だけを別地域へ移さず、どの版の表を使ったかを計算書へ残します。

事務所等は器具給水負荷単位を合計して算定図から流量を読む

一定規模以上の事務所等では、器具給水負荷単位を使います。負荷単位は、器具の使用頻度、使用時間、多数の器具が同時に使われる割合をまとめて表した値です。

器具表から負荷単位の合計を求める

  1. 給水系統ごとに大便器、洗面器、流し、シャワーなどを数える
  2. 公衆用・私室用、洗浄弁・洗浄タンク、節水型などを確認する
  3. 水道事業者が指定する負荷単位を器具数へ掛ける
  4. 系統内の負荷単位を合計する
  5. 指定された同時使用水量図からL/minを読む

大便器は、洗浄弁か洗浄タンクか、公衆用か私室用かで負荷単位が変わります。器具名だけで決めず、衛生器具表とメーカー仕様書を照合します。給湯栓を併用する場合の扱いなど、表の注記も確認が必要です。

同時使用水量図は曲線から値を読み取るため、この記事では図を転載しません。採用した水道事業者の原図に、合計負荷単位、選んだ曲線、読取流量を記録します。

計算結果を給水管・メーター・ポンプの検討へ渡す

瞬時最大使用水量を求めたら、その値だけで機器選定を完了させず、次の順で検討します。

  1. 給水系統ごとの瞬時最大使用水量を確定する
  2. 水道事業者のメーター選定表と規制最大使用流量を照合する
  3. 配管経路、管径、流速、摩擦損失、局部損失を計算する
  4. 最遠・最上階器具の必要最小圧力を確認する
  5. 給水ポンプの流量と揚程を選び、メーカー仕様書で運転範囲を確認する

横浜市の指針では、直結式のメーター口径は、計画瞬時最大使用水量がメーター選定表の規制最大使用流量以内になるよう決めます。メーター表や配水管水圧は水道事業者ごとに異なるため、所管との協議結果を水理計算書へ残します。

瞬時最大使用水量の計算で間違えやすい4つの場面

給水管口径を決めるときに時間平均流量を使う

受水槽容量と給水管口径を同じ計算書で続けて検討すると、日量から求めた時間平均流量を配管計算へ引き継ぎやすくなります。

よくある間違い:給水設備の配管計算で、1日使用水量を使用時間で割った流量だけを使い、ピーク時に必要な給水管口径を小さく判断することです。

確認すべきこと:計算書の単位を確認し、戸数、人数、器具のいずれかからL/minの瞬時最大使用水量を別に求めます。

共同住宅の戸数式で適用範囲を見落とす

基本設計から実施設計へ進み、共同住宅の戸数が増減したときは、採用する戸数式の境界をまたぐことがあります。

よくある間違い:共同住宅の給水計算で、10戸未満と10戸以上600戸未満で式が変わることを見落とし、同じ係数を使い続けて瞬時最大使用水量を誤って判断することです。

確認すべきこと:住戸数表と式の適用範囲を照合し、ファミリー・ワンルームの換算条件と採用戸数を記録します。

器具負荷単位を器具名だけで決める

事務所の実施設計で衛生器具表から負荷単位を集計するときは、同じ大便器でも洗浄方式や用途によって入力値が変わります。

よくある間違い:給水設備の計算で、洗浄方式、公衆用・私室用、節水型の仕様を確認せず同じ負荷単位を入力し、系統の同時使用水量を誤って判断することです。

確認すべきこと:衛生器具表、器具承認図、水道事業者の負荷単位表を並べ、各器具の分類と数量を照合します。

瞬時流量だけでポンプ型式を確定する

実施設計で給水ポンプを選定する段階では、瞬時最大使用水量が先に求まるため、流量だけで候補型式を絞りたくなります。

よくある間違い:ポンプ選定で必要流量だけをメーカー選定表へ入れ、最遠器具の必要圧力や配管損失を含まないまま型式を確定することです。

確認すべきこと:給水系統図と水理計算書から実揚程、摩擦・局部損失、必要最小圧力を求め、流量と揚程の両方をポンプ仕様書へ照合します。

瞬時最大使用水量の計算書で確認する項目

給水設備の設計者が、実施設計で水理計算書を作成し、給水管・メーター・ポンプの選定へ進む前に使うチェックリストです。採用基準、建物条件、計算式、器具仕様、協議記録を一つの計算書で照合します。

☐ 設計地と所管水道事業者を記載した

☐ 使用した基準名、改定年月、該当ページを記載した

☐ 1日使用水量・時間平均流量・瞬時最大使用水量を区別した

☐ 建物用途と算定方法を選んだ理由を記載した

☐ 戸数式・人数式の適用範囲を確認した

☐ ワンルームとファミリータイプの換算条件を確認した

☐ 器具の公衆用・私室用、洗浄方式、節水型を確認した

☐ 同時使用水量図の曲線と読取値を記録した

☐ メーター、配管、ポンプの検討へ同じ流量を引き継いだ

☐ 水道事業者との協議事項と確認日を残した

まとめ|用途に合う算定式と水道事業者の基準を照合する

瞬時最大使用水量は、建物のピーク時に同時使用される水量を予測したL/minの流量です。共同住宅は戸数式または居住人数式、一般建物は同時使用器具または同時使用水量比、一定規模以上の事務所等は器具給水負荷単位から求めます。

計算の次は、メーターの使用流量範囲、配管損失、最遠器具の必要圧力、ポンプの運転範囲を確認します。まず設計地の水道事業者が示す最新版を開き、建物用途、戸数・人数、器具表のどれを入口にするか決めてください。

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参考・出典

国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」

横浜市水道局「給水装置工事設計・施工指針」令和8年4月

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