建物の設計をするうえで欠かせないのがガス設備です。
コンロや給湯などはもちろん、空調設備や発電などにも利用されるガス設備。
そのガスについてあまり深く考えたことがない人は多いのではないでしょうか?
ここでは身近なガスの基礎知識を解説していきたいと思います。
都市ガスとプロパンガス(LPガス)の違い
まずは都市ガスとプロパンガス(LPガス)の違いについて確認しておきましょう。
都市ガスとプロパンガスの使い分け
一般的に使われるガスには、都市ガスとプロパンガスの2種類があります。
都市ガスの配管が敷設されている場合には都市ガスを利用し、都市ガスが来ていない地域ではプロパンガス(LPガス)を使用することになります。
都市ガスの供給範囲内であっても、LPガスを使用している場合もあります。
都市ガスとプロパンガス(LPガス)の違い
同じガス設備でも、都市ガスとプロパンガスは全く別の物です。
都市ガスとプロパンガスの違いを具体的に見ていきましょう。
原材料の違い
都市ガスの原材料は、メタンを主成分とする天然ガスです。
プロパンガスの原材料は、プロパンやブタンを主成分とした液化石油ガスです。
ちなみにLPガスは、液化石油ガス((liquefied petroleum gas)の略です。
供給方法の違い
ガスはそれぞれの性質的な特性を生かした供給方法が考えられています。
■都市ガス
都市ガスは、-162℃に冷却すると液体になり、体積が1/600になります。
この特性を生かし、液体の状態で一度に大量に輸入して、タンカーに貯蔵します。
その後、地面の下に敷設されたガス導管を通じて各家庭に送られます。
■プロパンガス
プロパンガスは、-42℃に冷却すると液体になり、体積が1/250になります。
また、圧力をかけると液体になるという特性もある為、液体のままボンベに入れて各家庭に運ばれます。
重さの違い
ガス警報器はガスの種類によって設置する位置が変わります。
都市ガスは空気より軽く、ガスが漏れたときは上に上がっていきます。
そのため、ガス警報器は天井や壁の上方に設置します。
プロパンガスは空気より重いため、ガス漏れの際には低い場所にたまることになります。
そのため、ガス警報器は壁の下方に設置します。
ちなみに、ガスは本来無臭ですが、ガスが漏れたときにすぐ気づくことができるように、匂いが付けてあります。
発熱量の違い
都市ガスとプロパンガスは原料が違ってきます。
そのため発熱量にも違いが出てきます。
プロパンガスは1㎥あたり約24,000kcalの熱量。
都市ガスは1㎥あたり約11,000kcalの熱量です。
プロパンガスの方が発熱量が高く、同じ体積でも、都市ガスの2倍の熱を出すことができるということです。
ここで注意が必要のなのは、熱量が高いからと言って火力が強いわけではないということです。
なので、ガスコンロなどは、都市ガス用でもプロパンガス用でも火力は変わりません。
また、ガス機器はガスの熱量に合わせて作られているため、都市ガス用の機器をプロパンガスで使用することは厳禁です。
ガス料金の違い
都市ガスとプロパンガスはガス料金も異なります。
一般的にはプロパンガスの方が高く、都市ガスの1.8倍程度になっています。
これは、プロパンガスがガスボンベの配送や検針など人件費がかかる為です。
また、プロパンガスはガス事業者ごとで料金が自由に決められる自由料金なので、業者間での価格の違いが大きいのも特徴です。
プロパンガスの場合は、料金等をしっかり比較検討して業者を選ぶことが大切です。
しかし、プロパンガスにもメリットがあります。
それは、プロパンガスの場合、無償貸与契約によって新規設置時の配管工事がかからないということです。
そのため、アパートなどでは建設費を抑えるために、プロパンガス採用するケースもあります。(その分、入居者のガス代が高くなりますが・・・)
最近はガス会社が電気料金とセットで安くるするというサービスも始めています。
都市ガスとプロパンガスの特徴まとめとメリット・デメリット
ここで都市ガスとプロパンガスの特徴とメリット・デメリットについてまとめてみましょう。
都市ガスの特徴とメリット・デメリット
原料:メタンを主成分とする天然ガス。
性質:-162℃に冷却すると液体になり、体積が1/600になる。
供給方法:気化したものを導管ネットワークを通じて提供。
臭い:ガス自体は無臭。(ガス漏れ対策としてにおいを付けてある)
重さ:空気より軽い。
メリット:ガス料金が安い。
ガスボンベがないのでスペースを有効に使える。
デメリット:初期費用が高い。
災害時の復旧時に時間がかかる。
エリア内でなければ使用できない。
プロパンガス(LPガス)の特徴とメリット・デメリット
原料:プロパン、ブタンを主成分とする液化石油ガス。
性質:-42℃に冷却すると液体になり、体積が1/250になる。
供給方法:液体のままボンベに詰めて提供。これを気体にして利用。
臭い:ガス自体は無臭。(ガス漏れ対策としてにおいを付けてある)
重さ:空気より重い
メリット:災害時の復旧が早い。
地域を選ばない。
初期費用がかからない。
デメリット:ガス料金が高い。
ガスボンベの設置場所が必要。
プロパン業者によって料金が大きく異なる。
この記事のまとめ
とても身近なガスについて、基礎知識をまとめてみました。
都市ガス、プロパンガス(LPガス)それぞれに特徴があります。
どちらを採用するかは、いろいろな面から検討が必要です。
プロパン業者によってもガス料金は大きく変わってくるので、しっかりと検討したいですね。