給水方式の種類-選び方とメリット・デメリットを比較

建物の給水方式にはいくつかの方式があります。
建物の規模や敷地の条件などで、どの給水方式にするべきかが変わってきます。

給水には大きく分けての2つの方式があります。
それぞれの方式のメリット・デメリットなどの特徴を理解したうえで、最適な給水方式の選び方を考えてみましょう。

給水方式の種類

給水方式には「水道直結方式」と「受水槽方式」の2つの方式があります。
それぞれの給水方式の特徴を見ていきましょう。

水道直結方式

水道直結方式には「直圧直結方式」と「増圧直結方式」があります。

直圧直結方式

上水道本管から直接給水する方式です。
上水道本管からの圧力だけで水を送ります。
通常は3階建ての建物以下に採用されます。

増圧直結方式

上水道本管からの圧力だけでなく、増圧給水ブースターポンプで加圧して給水する方法です。
カテゴリーとしては水道直結方式に含まれます。
直圧直結方式では水を送ることができない中低層の建物などで採用されます。
地域によっては認可されない場合があるので事前の確認が必要です。

受水槽方式

受水槽方式には「高置水槽方式」と「加圧給水方式」があります。

高置水槽方式

高置水槽方式は、受水槽に貯めた水を揚水ポンプで屋上の高置水槽まで送り、重力を利用して各戸に給水する方式です。

加圧給水方式

加圧給水方式は、受水槽に貯めた水を加圧ポンプの圧力で各戸に給水する方式です。

給水方式の特徴やメリット・デメリット

各給水方式にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
給水方式ごとに特徴を見ていきましょう。

直結直圧方式

適する規模:3階建て以下
給水の仕組み:上水道本管の圧力を利用して給水
給水圧力の変化:上水道本管の圧力に連動
衛生面:水質汚染の可能性は低い
断水時の給水:給水可能
停電時の給水:給水不可
必要なスペース:必要ない
注意点:通常は3階までであるが、条件を満たせば5階まで給水が可能になる自治体もある。

増圧直結方式

適する規模:4階建て以上
給水の仕組み:給水引込管の途中に設けた増圧給水ブースターポンプの圧力で給水
給水圧力の変化:ポンプの圧力で制御できるためほぼ一定
衛生面:水質汚染の可能性は低い
断水時の給水:給水不可
停電時の給水:上水道本管の圧力範囲までは給水可能
必要なスペース:増圧給水ブースターポンプのスペースが必要
注意点:断水せずに簡単にメーター交換が可能なメーターバイパスユニットの設置を義務付けているじちたいもある。

高置水槽方式

適する規模:4階建て以上
給水の仕組み:高置水槽からの重力で給水
給水圧力の変化:比較的安定している
衛生面:受水槽や高置水槽の清掃が必要
断水時の給水:高置水槽に貯まっている水は利用可能
停電時の給水:高置水槽に貯まっている水は利用可能
必要なスペース:受水槽や高置水槽、揚水ポンプの設置スペースやメンテナンススペースが必要
注意点:イニシャル・ランニング共にコスト的には最も高額となる。
高置水槽は構造的にも影響が大きく建築コストにも影響が出る。

加圧給水方式

適する規模:4階建て以上
給水の仕組み:受水槽に貯めた水を加圧給水ポンプの圧力で給水する
給水圧力の変化:ポンプの圧力で制御できるためほぼ一定
衛生面:受水槽の清掃が必要
断水時の給水:受水槽内の水は利用可能
停電時の給水:給水不可
必要なスペース:受水槽やポンプの設置スペースやメンテナンススペースが必要
注意点:受水槽の定期的なメンテナンスが必要になります。

最近の給水方式は「水道直結方式」が推奨されている

最近は「おいしい水」や「安心な水」への関心が高まっていることもあり、受水槽方式から水道直結方式への変更が推進されています。

受水槽に一度水を貯めるということは、受水槽の清掃状況などによっては水質が悪くなることが考えられます。
また、メンテナンスコストもかかるということもあり、各自治体は水道直結方式の採用を推進するとともに、インフラ整備にも力を入れています。

給水方式については、各自治体でいろいろな規定があります。
給水方式を決定する際には、必ず水道局に事前確認に行く必要があります。