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給排水設備図面の読み方|配管・弁・機器の主要記号と読む順番

給排水設備図面の配管・弁・計器記号を読み解く設計者のイラスト
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給排水設備図面を初めて開いたとき、「線と記号ばかりで、どこから見ればよいのだろう」と戸惑う方は多いと思います。私も設備を学び直すなかで、記号の名前を調べるだけでは、水の流れまでは分からないと感じました。

この記事は、これから給排水設備図面を学ぶ方、建築図は読めても設備図にまだ慣れていない方、建築設備士試験に向けて図面記号を整理したい方へ向けたものです。

目標は、記号を全部暗記することではありません。凡例、系統図、平面図を行き来しながら、一本の配管が「どこから来て、何につながり、どこへ向かうか」を追えるようになることです。

今回は、国土交通省の「公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版」から、給排水設備図面を読む手掛かりになる主要記号51点も一緒に見ていきます。

この記事でわかること

・給排水設備図面には、どのような図面があるのか

・凡例、系統図、平面図、詳細図をどの順番で読むのか

・配管、継手、弁、計器の記号をどう見分けるのか

・一本の給水管や排水管を、図面の中でどう追うのか

・建築図や構造図は、どの場面で確認するのか

給水の入口から立て管、衛生器具、排水立て管まで一本の配管を追う建物断面イラスト

まず知りたい、給排水設備図面の役割

給排水設備図面は、建物の中で水を安全に使い、使い終えた水を外へ流すための計画を表した図面です。

ただし、一枚の図面にすべての情報が入っているわけではありません。「つながり」「位置」「細かな納まり」「機器の仕様」を、複数の図面や表に分けて示しています。

最初は図面の種類が多く見えますが、それぞれの役割が分かると、疑問に合わせて見る図面を選びやすくなります。

図面・図書何が分かるか最初に見たいところ
図面リスト・表紙どの図面がそろっているか図番、改訂日、最新版かどうか
凡例・特記線や記号が何を表すか給水、給湯、排水、通気の線種と略号
系統図水がどこから来て、どこへつながるか水源、ポンプ、立て管、器具、排水先
平面図各階のどこを配管が通るか配管の位置、管径、分岐、立上り・立下り
詳細図機器まわりがどう納まるか弁や計器の並び、接続方法、点検スペース
機器表・仕様書機器の能力や材料は何か機器番号、形式、能力、材料、施工条件

たとえば、「この配管はどこにつながるのか」は系統図、「この階のどこを通るのか」は平面図、「ポンプの前後にどの弁が付くのか」は詳細図を見ると分かりやすくなります。

図面の呼び方や構成は案件によって異なります。国土交通省の基準は官庁施設向けなので、実際の仕事では、その案件の図面リスト、凡例、特記を入口にするのが基本です。

初めて読むときは、5段階で見てみる

設備図面は、いきなり平面図の細い線から追い始めると迷いやすいところです。私は「全体から細部へ」と順番を決めておくと、図面を行き来しやすくなりました。

1. 図面リストで、使う図面をそろえる

まずは表紙や図面リストを開きます。ここでは、給排水の平面図だけでなく、系統図、詳細図、機器表が含まれているかを見ます。

改訂日や改訂記号も大切です。平面図だけが新しく、系統図が古いままだと、配管がつながらないように見えることがあります。

2. 凡例で、その図面の「言葉」を知る

凡例は、その図面で使う線や記号の意味をまとめたものです。いわば、図面を読むための辞書にあたります。

給水、給湯、排水、通気は、線の種類や線上の略号で表されます。同じような実線でも意味が違うことがあるため、最初に案件の凡例と見比べておくと安心です。

この記事に載せている記号は、国土交通省の標準的な例です。実際の図面では、記事の一覧よりも、その図面に書かれた凡例と特記を優先して読みます。

3. 系統図で、水の出発点と行き先を見る

系統図は、配管の位置よりも「何と何がつながっているか」を表す図面です。

給水であれば、給水本管や受水槽から始まり、ポンプ、立て管、各階の分岐、衛生器具へ進みます。排水は反対に、便器や洗面器などの器具から、排水立て管、建物外への接続へ向かって追うと分かりやすいです。

この段階では、細かな寸法を読む必要はありません。まずは水の出発点、途中にある機器、最後の行き先を見つけます。

4. 平面図で、同じ配管を一本だけ追う

系統図で見つけた立て管番号や機器番号を、同じ階の平面図で探します。

給水管を見ている途中で排水管へ移ると、どの線を追っていたか分からなくなりやすいです。最初は給水なら給水だけを選び、管径、分岐、弁、立上り・立下りを順に見ていきます。

一本を最後まで追えるようになると、ほかの配管も同じ考え方で読めるようになります。

5. 詳細図と機器表で、分からない部分を補う

平面図は位置を示す図面なので、機器まわりの細かな接続や、点検に必要な向きまでは分からないことがあります。

そのような場所は、詳細図、機器表、仕様書へ移ります。平面図で分からないことを無理に推測せず、別の図面で補うのが設備図面の読み方です。

主要記号51点は、役割ごとに見てみる

ここからは、給排水設備図面で出会いやすい記号を、役割ごとに整理します。

各画像は、左側が記号の名称、右側が図面上の表し方です。国土交通省の令和7年版標準図から、名称と記号の部分を記事用に抜粋・加工しています。国土交通省がこの記事を作成・監修したものではありません。

すべてを一度に覚えなくても大丈夫です。まずは「線のつながり」「上下方向」「配管の種類」「弁の役割」の四つから見ていくと、実際の図面で使いやすくなります。

交差している線は、つながっているとは限らない

二本の線が交差していても、配管同士が接続している場合と、上下に通り過ぎているだけの場合があります。

画像の一番上では、縦線が横線の手前で切れているものが「接続していない」、縦線と横線がつながっているものが「接続している」表し方です。ここを見分けられると、分岐の読み違いを減らせます。

丸に短い線が付いた記号は、立下り、通過、立上りを表します。同じ位置を上下階の平面図や系統図で探すときの目印になります。

接続していない配管、接続している配管、立下り・通過・立上り、フランジの標準記号

継手は、曲がる・分かれる・外せる場所を表す

継手は、配管同士をつなぐ部品です。図面では、配管が曲がる場所、分岐する場所、取り外せる場所などを記号で表します。

チーズは三方向への分岐、90度Yは斜め方向への分岐、90度エルボやベンドは配管が曲がる場所です。形がよく似ているので、記号の中にある短い線と、枝管が伸びる方向を一緒に見ると区別しやすくなります。

ユニオン、チーズ、90度Y、90度エルボの標準記号
ベンド、満水試験継手、プラグ、フレキシブルジョイントの標準記号

防振継手は、ポンプなどから配管へ伝わる振動を和らげるための継手です。ボールジョイントやフレキシブルジョイントも、配管の動きや変位との関係を考える手掛かりになります。

固定箇所、スリーブ、防火壁貫通の記号が出てきたら、配管だけではなく、構造や防火区画との関係も見えてきます。スリーブは、壁や床に配管を通すためにあらかじめ設ける筒状の部材です。

防振継手、ボールジョイント、固定箇所、スリーブ、防火壁貫通の標準記号

線種は、配管の中を何が流れるかを表す

配管の線は、見た目が似ていても、流れているものが違います。給水、給湯、排水、通気を見分けるには、線の形だけでなく、線上の文字も一緒に見ます。

画像では、上水、雑用水、給湯の送り・返り、排水、通気を並べています。雨水排水のRD、厨房排水のKD、厨房通気のKVのように、用途を表す文字が加わる例もあります。

破線を見てすぐ通気管と決めるのではなく、図面名称、凡例、線上の略号、接続先まで見ると判断しやすくなります。

上水、雑用水、給湯送り・返り、排水、通気、雨水排水、厨房排水、厨房通気の線種

弁は、「何のために付いているか」で分ける

弁は、配管内の水を止めたり、逆流を防いだり、圧力や温度を調整したりする部品です。記号の形が似ているので、最初は役割ごとに分けると覚えやすくなります。

仕切弁やボール弁は、点検や修理のときに系統を止めるために使われます。逆止弁は、水が反対方向へ流れるのを防ぐ弁です。

図面では、弁の名前だけでなく、配管のどの位置にあり、その前後に何がつながっているかを見ると、設置の目的が分かりやすくなります。

埋設弁、仕切弁、バタフライ弁、玉形弁、逆止弁、ボール弁、コックの標準記号

安全弁・逃し弁は圧力が上がりすぎるのを防ぐもの、減圧弁は下流側の圧力を下げるものです。温度調整装置や電動弁装置には、二方弁と三方弁の表し方があります。

減圧弁の前後に書かれた圧力や、弁の近くに書かれた口径は、記号の一部ではなく設計条件です。形だけでなく、周囲の文字や数値も一緒に読みます。

安全弁・逃し弁、減圧弁装置、温度調整装置、電動弁装置の標準記号

計器は、文字と取付位置を一緒に見る

計器は、配管内の状態を測るためのものです。円の中にある文字が、何を測る計器かを表しています。

画像の例では、Pが圧力計、Wが水高計、Cが連成計、Tが温度計です。自動エア抜弁は、配管内にたまった空気を自動で抜くための装置です。

文字だけで判断するのではなく、どの配管から枝分かれしているか、ポンプや弁の上流・下流のどちらに付いているかも見ると、測定の目的が分かりやすくなります。

電磁弁装置、自動エア抜弁装置、圧力計、水高計、連成計、温度計の標準記号

ストレーナは、配管内の異物を取り除くための部品です。瞬間流量計は、その時点で流れている水量を測ります。

地中埋設標は、地面の下にある配管の位置を地上から分かるようにする表示です。白抜きの四角はコンクリート製、黒丸は鉄製を表す例になっています。

ストレーナ、瞬間流量計、コンクリート製・鉄製の地中埋設標の標準記号

一本の配管を、実際に追う順番

記号を少し見慣れたら、実際の図面で一本の配管を追ってみます。ここでは、受水槽や給水本管から洗面器へ向かう給水管を想像してみます。

  1. 系統図で、受水槽や給水本管などの出発点を見つける
  2. 途中にあるポンプと、立て管の番号を見る
  3. 平面図で、同じ立て管番号を探す
  4. 立て管から伸びる給水管を一本選び、管径と分岐を追う
  5. 途中にある仕切弁、逆止弁、減圧弁、計器を見る
  6. 洗面器や便器など、配管の接続先まで進む
  7. 詳細図や機器表で、機器まわりの接続を補う

排水管は、便器や洗面器などの器具から始め、排水枝管、排水立て管、建物外への接続へ向かって追います。

通気管は、排水を流す管ではなく、排水管内の圧力変化を小さくするための管です。排水管と通気管は途中で関係しますが、同じ役割の一本の管として読まない方が分かりやすいです。

建築図は、位置・高さ・貫通を知りたいときに見る

設備図で配管のつながりが分かっても、その配管が建物の中に納まるかどうかは、設備図だけでは判断できません。ここで建築図や構造図が必要になります。

平面図では、便器や洗面器、パイプスペース(PS)、機械室、点検口の位置を見比べます。断面図や天井伏図では、横引き配管が梁や天井とぶつからないか、点検できる高さがあるかを見ます。

スリーブや防火壁貫通が出てきたら、構造図や防火区画図も関係します。構造部材へ開口を設けられるか、どの防火処理が必要かは、設備図だけでは決められません。案件の設計図書をそろえ、建築・構造の担当者と一緒に調整する内容です。

建築設備士試験では、記号より先に図面の種類を見る

試験学習でも、記号の名前だけを覚えるより、「どの図面の、どの系統を見ているか」を先に考えると、選択肢を整理しやすくなります。

問題文で見たい手掛かりは、平面図・系統図・詳細図のどれか、給水・給湯・排水・通気のどれか、上下階や流れの方向が示されているかです。

条件とセットで整理する用語では、仕切弁は止水、逆止弁は逆流防止、減圧弁は圧力調整というように、名称と目的を一緒に整理します。

似た記号の見分け方では、線が交差しているだけか接続しているか、立下り・通過・立上りのどれか、排水管と通気管のどちらかを、凡例と周囲の配管から考えます。

判断する順番は、①図面の種類、②凡例、③系統名、④上下方向、⑤弁・計器、⑥器具や機器への接続、です。この順に見ると、選択肢の判断材料を拾いやすくなります。

間違えやすいポイント

交差する線を、すべて接続だと思ってしまう

よくある間違い:二本の線が交差しているため、配管が分岐していると考えることです。

確認すべきこと:接続していない記号と、接続している記号を凡例で見比べます。CADの表現は案件によって異なることもあるため、記事の記号だけで決めないことが大切です。

線の形だけで、給水や排水を決めてしまう

よくある間違い:実線なら排水、破線なら通気というように、線の見た目だけで系統を決めることです。

確認すべきこと:図面名称、凡例、線上の略号、接続先を一緒に見ます。その案件の凡例と特記が、最も身近な判断材料です。

平面図だけで、配管の続きを想像してしまう

よくある間違い:立上りや立下りの先を、平面図だけで推測してつなぐことです。

確認すべきこと:同じ立て管番号を、系統図と上下階の平面図で探します。機器まわりの弁や計器は、詳細図と機器表で補います。

標準図の記号が、すべての図面で同じだと思ってしまう

よくある間違い:国土交通省の標準図を、民間案件や別の設計事務所の図面にも、そのまま当てはめることです。

確認すべきこと:標準図は官庁施設向けの統一基準です。実際の表記は、用途、発注者、契約条件、設計者、メーカー仕様などで変わるため、最新版の案件図書を優先します。

初めて図面を読むときのチェックリスト

このチェックリストの対象者は、給排水設備図面を学び始めた初学者や、建築と設備の調整を担当する方です。図面を受け取ったときに、一緒に見直したい項目をまとめました。

基本設計、実施設計、施工前の図面確認で、図面の版、凡例、系統、別図とのつながりを見落としていないかを確かめる一覧です。

☐ 図面リストで、平面図・系統図・詳細図・機器表がそろっているか見た

☐ 図面の改訂日と改訂記号を見た

☐ 凡例で、給水・給湯・排水・通気の線種と略号を見た

☐ 系統図で、水の出発点、立て管、器具、排水先を見つけた

☐ 平面図では、最初に一つの系統だけを選んで追った

☐ 弁と計器は、名前だけでなく前後の配管も見た

☐ 立上り・立下りの先を、上下階平面図と系統図で見比べた

☐ 機器まわりは、詳細図・機器表・仕様書で補った

☐ スリーブや防火壁貫通は、建築図・構造図・防火区画図と見比べた

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まとめ

給排水設備図面は、最初からすべての線と記号を読もうとすると難しく感じます。

まず凡例で図面の言葉を知り、系統図で水の出発点と行き先を見ます。そのあと平面図で一本の配管を追い、分からない部分を詳細図や機器表で補うと、図面同士の関係が少しずつ見えてきます。

主要記号51点も、一度に暗記する必要はありません。最初は、線の接続、立上り・立下り、給水・排水・通気、止水弁と逆止弁の違いから始めてみると、実際の図面で役立てやすいと思います。

この記事が、設備図面を開いたときに「まずどこを見ようか」と考えるための手掛かりになればうれしいです。

参考・出典

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