空調設備

暖房時の空調サイクル設計|加熱・加湿・送風量の計算手順

外気と還気を加熱コイルと加湿器で処理して給気する「暖房時の空調サイクル設計」のアイキャッチ
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冬のオフィスで「室温は22℃あるのに、空気が乾いて足元も寒い」ということがあります。温度だけを見て暖房を設計すると起こりやすい問題です。空気は、水分を加えずに温めると相対湿度が下がります。天井から出た温風は上にたまりやすく、窓際では冷やされた空気が床へ降りてきます。

そこで中央式空調では、まず部屋を暖めるための風量を決めます。次に、屋外から取り入れた冷たく乾いた空気と、室内から戻った空気を混ぜ、加熱と加湿を行います。この順番が分かると、空調機の計算書に並ぶ「混合空気」「加熱コイル能力」「有効加湿量」が一つの流れとして読めるようになります。

以下では、30kWの暖房負荷を処理する例を使い、必要風量から加湿量、加熱コイル能力まで順に計算します。扱うのは空調機と室内を循環する空気の変化です。冷媒を圧縮・凝縮させる冷凍サイクルとは別の話です。

この記事でわかること

  • 暖房空調サイクルのRA・OA・MA・SAの役割
  • 暖房顕熱負荷から必要送風量を求める式と単位換算
  • 風量と絶対湿度差から必要加湿量を求める方法
  • 蒸気式と気化式で加熱コイル出口温度が違う理由
  • 吹出口、給排水、制御、清掃を確認する順番
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暖房空調サイクルは外気混合・加熱・加湿をつなぐ

空調機へ戻ってきた室内空気が還気RA、換気のために屋外から入れる空気が外気OAです。この2つが混ざった空気を混合空気MAと呼びます。MAを加熱コイルで温め、加湿器で水分を加えたものが、室内へ送る給気SAです。

略号が多く見えますが、実際の流れは次の一本です。

還気RA・外気OA → 混合空気MA → 加熱 → 加湿 → 給気SA → 室内 → 還気RA

冬のオフィスで天井吹出口から暖気が出て、窓際では冷気が足元へ下がる暖房運転の場面

還気RAと外気OAを混ぜて混合空気MAをつくる

たとえば、室内から22℃の空気が戻り、屋外から2℃の空気が入るとします。外気の割合を増やすほど、空調機へ入る空気は冷たく乾いた状態になります。換気量を確保するほど、加熱にも加湿にも余力が必要になるということです。

この混ざった状態を求めるとき、温度だけを単純平均してはいけません。空気が持つ水分と熱も合わせるため、乾き空気の質量比を基準に、絶対湿度と比エンタルピーを計算します。

混合空気MAを加熱コイルで温める

混合空気は、温水コイルや蒸気コイル、電気ヒータなどで温めます。この段階では空気へ水分を加えていないので、温度は上がっても絶対湿度はほぼ変わりません。

湿り空気線図で見ると、混合点からほぼ水平に右へ進みます。これが「加熱」と「加湿」を分けて計算する理由です。

加湿器で絶対湿度を上げて給気SAにする

温めただけの空気は乾いているため、加湿器で必要な水分を足します。ただし、どの方式を使うかで温度の動きが違います。蒸気式は、すでに蒸気になった水を加えるので、空気温度は大きく下がりません。一方、気化式は空気の熱を使って水を蒸発させるため、加湿しながら空気が冷えます。

この違いを無視すると、気化式加湿器を通ったあとの給気温度が計画より低くなります。ファンによる温度上昇やダクトの熱損失もあるため、最後は実際の機器配置とダクト経路に合わせて給気SAの状態を確認します。

給気SAが室内の熱損失と水分損失を補う

給気SAが室内へ入ると、外壁や窓から逃げる熱を補い、換気や漏気で失われた水分も補います。室内を通った空気の一部は排気され、残りは還気RAとして空調機へ戻ります。暖房空調サイクルは、この循環を運転中ずっと繰り返しています。

外気OAと還気RAが混合し、フィルタ、加熱コイル、気化式加湿器、ファンを経て給気SAとなる暖房空調サイクル

暖房空調サイクルの設計は五つの入力条件から始める

いきなり送風量の式へ数値を入れるのではなく、先に室内、外気、負荷、換気量、空調機の条件をそろえます。どれか一つでも別の設計条件を使うと、後の計算がつながりません。

入力条件主な内容確認先
室内条件乾球温度、相対湿度または絶対湿度設計条件表、用途、運用条件
外気条件乾球温度、絶対湿度、比エンタルピー建設地、採用する設計基準
室内負荷暖房顕熱負荷、水分収支負荷計算書、換気計算書
外気量人員、用途、運用、制御を反映した量適用法令、設計基準、系統図
空調機条件給気温度、加湿方式、ファン位置機器表、制御図、メーカー選定条件

ここでは、冬の外気2℃を30%取り入れ、室温22℃の部屋へ35℃の空気を送ると仮定します。30kWの暖房負荷を処理しながら、給気の絶対湿度を8.0g/kg(DA)まで上げる例です。計算手順を確かめるための条件であり、地域や用途の標準値ではありません。

  • 室内・還気RA:22℃、絶対湿度0.0070kg/kg(DA)
  • 外気OA:2℃、絶対湿度0.0030kg/kg(DA)
  • 外気比:乾き空気質量比30%
  • 室内暖房顕熱負荷:30kW
  • 給気SA:35℃、絶対湿度0.0080kg/kg(DA)
  • 空気密度:1.2kg/m³
  • 空気の定圧比熱:1.0kJ/(kg・K)
状態点乾球温度絶対湿度比エンタルピー
還気RA22.00℃7.00g/kg(DA)39.92kJ/kg(DA)
外気OA2.00℃3.00g/kg(DA)9.53kJ/kg(DA)
給気SA35.00℃8.00g/kg(DA)55.72kJ/kg(DA)

暖房顕熱負荷30kWから必要送風量を約6,920m³/hと求める

最初に決めるのは風量です。室温22℃に対して35℃の空気を送ると、給気1m³が運べる熱量が決まります。その熱で30kWの暖房負荷を処理するには、1時間にどれだけ空気を送ればよいかを求めます。

V = q_s × 3,600 / [ρ × c_p × (t_S-t_R)]

  • V:必要送風量[m³/h]
  • q_s:室内暖房顕熱負荷[kW]
  • ρ:空気密度[kg/m³]
  • c_p:空気の定圧比熱[kJ/(kg・K)]
  • t_S-t_R:給気温度と室温の差[K]

今回の条件を代入します。

V = 30 × 3,600 / [1.2 × 1.0 × (35-22)] = 6,923.1m³/h

必要送風量は約 6,920m³/h になりました。ここで式中の3,600を落とさないようにしてください。kWは1秒当たり、m³/hは1時間当たりの量なので、時間の単位をそろえるために必要です。

加湿量の計算では空気の体積ではなく質量を使うため、この風量を乾き空気の質量流量へ直しておきます。

m_da = 6,923.1 × 1.2 / 3,600 = 2.3077kg/s

外気30%と還気70%から混合空気MAを求める

次は、22℃の還気70%と2℃の外気30%を混ぜたとき、空調機へ入る空気がどの状態になるかを求めます。まず絶対湿度を計算します。

x_M = 0.30 × 0.0030 + 0.70 × 0.0070 = 0.0058kg/kg(DA)

熱の状態を表す比エンタルピーも、同じ30対70の質量比で混ぜます。

h_M = 0.30 × 9.53 + 0.70 × 39.92 = 30.80kJ/kg(DA)

計算した絶対湿度と比エンタルピーを湿り空気線図または状態式で読むと、混合空気の温度は約 16.0℃ です。つまり、22℃の還気へ2℃の外気を30%混ぜた結果、加熱コイルの入口温度は16℃程度まで下がります。

混合空気MA計算結果
乾球温度16.0℃
絶対湿度5.8g/kg(DA)
比エンタルピー30.80kJ/kg(DA)

なお、外気比を風量の比で与えられた場合も、厳密に計算するときは乾き空気の質量比へ直します。2℃の外気と22℃の還気では密度が同じではないためです。

必要加湿量は約18.3kg/hになる

混合後の空気には、乾き空気1kg当たり5.8gの水蒸気が含まれています。給気の目標は8.0gなので、差の2.2gを補えばよいことになります。これに、1時間に空調機を通る乾き空気の質量を掛けます。

G = m_da × (x_S-x_M) × 3,600

G = 2.3077 × (0.0080-0.0058) × 3,600 = 18.28kg/h

空気へ実際に加える水分量は、約 18.3kg/h です。これは「空気中へ蒸発させたい水の量」であって、機器へ送る給水量そのものではありません。

たとえば気化式では、入口の温湿度や風量によって蒸発量が変わり、余った水を排水する製品もあります。18.3kg/hという計算値をそのまま型式表へ当てはめず、メーカーの能力補正、安全率、給水量、排水量、使用水質を確認して選びます。

蒸気式と気化式では加熱コイルの出口条件が変わる

ここまでで必要な水分量は決まりました。しかし、蒸気で18.3kg/hを加える場合と、水を空気中で蒸発させる場合とでは、加湿後の温度が同じになりません。ここからは方式ごとに加熱コイルの出口を考えます。

比較項目蒸気式加湿気化式加湿
水分の加え方水を蒸気にして空気へ加える加湿材の水を空気中で蒸発させる
乾球温度の代表的な変化変化が小さい気化熱により下がる
空気線図の簡略表示ほぼ上向き比エンタルピーほぼ一定で左上
加熱コイルの考え方目標給気温度付近まで加熱温度低下を見込み、事前に高く加熱
確認する設備給水、電源・蒸気、分散管、凝縮水給水、排水、加湿材、点検・交換スペース

蒸気式は給気温度付近まで加熱してから加湿する

蒸気式では、まず16.0℃の混合空気を、絶対湿度5.8g/kg(DA)のまま給気温度に近い35℃まで温めます。このときの比エンタルピーは約50.08kJ/kg(DA)です。

Q_HC,steam = 2.3077 × (50.08-30.80) = 44.49kW

この条件では、加熱コイルに約 44.5kW が必要です。その後で蒸気を加え、絶対湿度を8.0g/kg(DA)へ上げます。

ただし、実際の出口温度はぴったり35℃になるとは限りません。蒸気も熱を持っているうえ、ファンで温度が上がり、ダクトでは熱が逃げるからです。蒸気温度と蒸気量、分散管の位置、吸収距離まで含め、空調機と加湿器の選定計算で最終状態を確定します。

気化式は加湿後の温度低下を見込んで事前加熱する

気化式では、水が蒸発するときに空気から熱を奪います。35℃までしか加熱しなければ、加湿器を通った空気は35℃より低くなってしまいます。そこで、加湿後に35℃へ着地するよう、加熱コイルの出口温度を逆算します。

目標給気35℃・8.0g/kg(DA)の比エンタルピーは55.72kJ/kg(DA)です。この値を保ったまま、加湿前の絶対湿度5.8g/kg(DA)まで湿り空気線図上で戻ると、加熱コイル出口は約 40.6℃ になります。

Q_HC,evap = 2.3077 × (55.72-30.80) = 57.51kW

必要な加熱コイル能力は約 57.5kW です。蒸気式の44.5kWより大きくなるのは、加湿時に失う顕熱をあらかじめ与えるためです。

40.6℃は、あくまでこの計算条件で理想的な断熱加湿を仮定した値です。実機では、加湿材の能力、入口水温、処理風量、飽和効率、熱損失が効きます。候補機器の選定資料で、必要な入口温度と実際の加湿能力を確かめます。

吹出温度は風量と吹出口の到達性能を一緒に確認する

計算上は、給気温度を高くすれば風量を減らせます。たとえば同じ30kWでも、室温との差を大きくするほど必要風量は小さくなります。ただし、温かい空気は上へ浮くため、天井から高温の空気を出しても足元まで届くとは限りません。

風量計算が合っていても、吹出口の選び方が悪ければ、天井付近だけが暖かくなります。ここは計算式ではなく、実際に使う吹出口の暖房時データで確認するところです。

吹出口を選ぶときは、次の条件をまとめてメーカー選定表へ入れます。

  • 暖房時の給気温度と室温
  • 吹出口の形式、寸法、個数
  • 1個当たりの風量と吹出風速
  • 取付高さ、室の奥行き、家具や梁の位置
  • 暖房時の到達距離、拡散、下向き設定
  • 騒音条件と風量制御範囲

「室温より何℃高くするか」という一つの目安だけでは決められません。候補の吹出口について、取付高さと1個当たりの風量を入れ、温風が窓際や床付近まで届くかを確認します。

窓際のコールドドラフトはペリメータ計画で抑える

大きな窓のそばで足元だけ寒いときは、室温設定より窓面の影響を疑います。窓で冷やされた空気は重くなり、ガラスに沿って床へ流れ落ちます。これがコールドドラフトです。

設備だけで解決しようとせず、まず窓の断熱性能を意匠担当者と確認します。そのうえで、窓側へ温風を届ける、窓下にコンベクタを置く、床暖房で補う、といった方法を検討します。ブラインドボックスやカウンター、家具が気流を遮らないかも、平面図と断面図で確認します。

加湿器は給水・排水・制御・清掃まで含めて選ぶ

加湿器は、18.3kg/hを処理できる機種を選んだだけでは使える計画になりません。給水できても排水できない、センサーが水滴を拾って停止する、加湿材を交換するスペースがない、といった問題は、図面をまとめる前に防ぐ必要があります。

機器表と系統図を照らし合わせながら、次を確認します。

□ 加湿前後の温湿度、絶対湿度、処理風量、必要加湿量□ 使用できる水質、給水圧、給水管径、止水方法□ 排水量、ドレンパン、トラップ、間接排水、排水先□ 蒸気分散または水分吸収に必要な直管距離□ 湿度センサー、過加湿防止、送風機・加熱コイルとのインターロック□ 加湿材、ノズル、エリミネータ、排水受けを清掃・交換するスペース□ 停止時の乾燥運転、残水処理、定期点検の方法

運転開始後は、加湿材やノズルだけでなく、水・蒸気の経路、エリミネータ、排水受け、補給水槽も汚れます。厚生労働省の建築物環境衛生維持管理要領も、これらの点検と清掃を示しています。誰がどの頻度で作業するかは、施設の用途・規模、設備方式、所管、管理計画に合わせて決めます。

相対湿度40~70%は適用対象を確認して使う

「冬の室内湿度は40%以上にすればよい」と、そのまま設計条件へ書くのは早計です。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準は、対象となる空気調和設備について相対湿度40~70%を示していますが、すべての住宅や建物に一律適用される値ではありません。

まず、その建物が特定建築物に該当するか、用途と規模、設備方式が対象になるかを確認します。そのうえで、発注者が求める室内条件、在室時間、冬の外気、管理者が実際に運転できる範囲を踏まえて目標湿度を決めます。

加湿能力に余裕があっても、窓や外壁の表面温度が低ければ結露します。湿度の目標と防露計算は、別々に決めず一緒に確認します。

建築設備士試験対策|混合点・加湿量・加熱能力を順に解く

建築設備士試験では、暖房時の空気の変化を知っているだけでなく、吹出温度や加湿量を計算し、加湿器の制御・維持管理まで説明できるかが問われます。

平成29年第一次試験No.5|吹出温度と水加湿量を求める

実際の問題では、暖房運転中の空気線図と、送風量5,000m³/h、室内顕熱負荷20kW、空気の比熱1.0kJ/(kg・K)、密度1.2kg/m³が与えられ、吹出し空気温度と水加湿量の組合せを選びます。空気線図からは、室温22℃、加湿前の絶対湿度0.0040kg/kg(DA)、加湿後0.0066kg/kg(DA)を読み取ります。

まず、20kWを5,000m³/hの空気で運ぶときの温度差を求めます。

Δt = 20 × 3,600 / (5,000 × 1.2 × 1.0) = 12K

室温22℃に12Kを加えるため、吹出し空気温度は 34℃ です。次に、1時間に流れる乾き空気量5,000 × 1.2 = 6,000kg/hへ、絶対湿度差0.0066-0.0040 = 0.0026kg/kg(DA)を掛けます。

G = 6,000 × 0.0026 = 15.6kg/h ≒ 16kg/h

したがって答えは、吹出し空気温度34℃、水加湿量16kg/h の組合せです。温度差には顕熱収支、加湿量には絶対湿度差を使うと分ければ、同じ空気線図から二つの答えを出せます。

平成30年第二次試験・選択問題A第2問(2)|加熱能力と有効加湿量を求める

この問題では、203m²・50人の待合ロビーを単一ダクト方式で暖房します。外気は1.9℃・比エンタルピー6.7kJ/kg(DA)、室内は22℃・38.8kJ/kg(DA)、送風量は6,000m³/h、外気量は1人当たり30m³/h、全熱交換器の効率は60%です。加熱コイル出口は29.3℃・45.1kJ/kg(DA)・絶対湿度0.0061kg/kg(DA)と与えられています。求めるのは、加熱コイル入口の比エンタルピー、加熱能力、有効加湿量です。

外気量は30 × 50 = 1,500m³/hなので、送風量に占める外気の割合は25%です。全熱交換器を出た外気の比エンタルピーは、次のように求めます。

h_OA' = 6.7 + 0.60 × (38.8-6.7) = 25.96kJ/kg(DA)

この外気25%と還気75%を混ぜると、加熱コイル入口の比エンタルピーは 35.6kJ/kg(DA) です。

h_M = 0.25 × 25.96 + 0.75 × 38.8 = 35.59kJ/kg(DA)

乾き空気質量流量は6,000 × 1.2 / 3,600 = 2.0kg/sなので、加熱能力は 19.0kW になります。

Q_HC = 2.0 × (45.1-35.59) = 19.02kW

室内の構造体負荷は203 × 60 = 12.18kWです。この負荷と送風量から吹出温度を約28.1℃と求め、比エンタルピー45.1kJ/kg(DA)との組合せから、加湿後の絶対湿度を約0.0066kg/kg(DA)と読みます。したがって有効加湿量は 3.6kg/h です。

G = 6,000 × 1.2 × (0.0066-0.0061) = 3.6kg/h

この問題では、全熱交換後の外気を求めてから還気と混ぜることが重要です。外気と還気を先に混ぜたり、外気量1,500m³/hを送風量と取り違えたりすると、三つの答えがすべてずれます。

令和7年第二次試験・必須問題第2問|気化式加湿器を説明する

実際の問題は、貸事務室用空調機の気化式加湿器について、気化の原理を一つ、計画上の留意事項を二つ、具体的に記述するものです。公式の解答例は公表されていませんが、公式採点ポイントには「原理、制御特性、維持管理」が明記されています。

原理は、加湿材へ供給した水が通過空気から気化熱を受け取って蒸発し、空気の絶対湿度が上がる一方、乾球温度が下がると書けます。湿り空気線図では、理想的には比エンタルピーがほぼ一定のまま左上へ進む変化です。

留意事項の一つ目は制御です。入口温湿度と風量で加湿能力が変わるため、給水弁を湿度センサーで制御し、送風機停止時は給水を止めます。二つ目は維持管理です。排水と停止後の乾燥を確保し、加湿材、給水部、ドレンパンを清掃・交換できる点検スペースを設けます。

解答には、「衛生に配慮する」のような抽象語だけを書かず、何を制御し、どこを清掃し、どの運転状態で水を止めるかまで示すと、採点ポイントへ具体的に対応できます。

暖房空調サイクルの計算で間違えやすい五つの点

送風量式で3,600の換算を落とす

kWは1秒当たり、m³/hは1時間当たりの量です。風量式へ代入する前に、3,600が必要な単位の組合せか確認します。

相対湿度だけを見て加湿量を決める

相対湿度は、水分量が同じでも温度が上がると下がります。「40%にしたい」という数字だけでは加湿量を出せません。加湿前後の絶対湿度差と乾き空気質量流量を使います。

必要加湿量をそのまま給水量にする

計算で求めたのは、空気へ加える水分量です。機器の給水量は、蒸発しない水や排水も含むことがあります。能力補正、安全率、排水、濃縮水管理をメーカー仕様で確認します。

気化式でも給気温度までしか加熱しない

気化式では、35℃の空気を加湿すると35℃より低くなります。目標給気点から湿り空気線図を逆にたどり、加熱コイル出口の温度を決めます。

給気温度だけで吹出口を選ぶ

同じ35℃の給気でも、吹出口の形式、風量、風速、取付高さ、室の奥行きで届く位置が変わります。メーカーの暖房時選定資料に実際の条件を入れて確認します。

まとめ|暖房空調サイクルは熱と水分を分けてつなげる

暖房空調サイクルの計算は、部屋に必要な熱量から風量を決めるところから始まります。外気と還気を混ぜた状態が分かれば、加えるべき水分量と熱量を順に求められます。

今回の例では、30kWの暖房負荷に対して必要風量は約6,920m³/h、必要加湿量は約18.3kg/hでした。蒸気式では加熱コイルが約44.5kW、気化式では加湿時の温度低下を見込んで約57.5kWとなります。同じ加湿量でも、方式が違えば加熱条件も変わることがポイントです。

計算が終わったら、温風が足元まで届くか、窓際で冷気が降りないか、加湿器へ給排水できるか、清掃や部品交換ができるかを図面上で確かめます。数値を出して終わりにせず、空調機・加湿器・吹出口のメーカー選定へ渡して、実際に運転できる計画へ仕上げてください。

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参考・出典

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