【給水設備】建物の予想使用水量算出:3つの算出方法を解説

給水設備の基礎となるのが予想使用水量です。
引込管口径や受水槽の算出に必要となる重要な情報となります。
ここでは、給水設備の予想使用水量の算出方法の概要を解説します。

建物の使用水量の算出方法

建物の使用水量を求めるためにはいくつか方法があります。
その中でも利用頻度の高い方法が以下の3つの方法です

  1. 建物の利用人員から算出する方法
  2. 設置する水使用器具の数から算出する方法
  3. 建物の延べ床面積から算出する方法

①の建物の利用人員から算出する方法は、受水槽などの主要機器の選定に使われます。
②の使用器具数から算出する方法は、主に給水管の管径の決定に用いられます。
③の建物の延べ床面積から算出する方法は、概略の設備計画をするときに使われます。

①建物の利用人員から算出する方法

建物の利用人員をから給水量を求める場合は、一般的には「空気調和・衛生工学便覧」の「建物種別単位給水量・使用人員・人員一覧」から求めます。
この一覧では、建物の種類ごとに、その利用者一人当たりの給水量を求めることができます。
また、有効床面積当たりの人員も求めることができます。
この有効床面積というのは、建物の延べ面積から廊下や便所を差し引いた面積です。
人員算定にで使う資料は、所轄の水道局などで指導要項や基準を作成している場合もありますので、設計の際には事前に所轄水道局と協議をしてから人員決定をする必要があります。
そのほかには、国土交通省の建築設備設計基準にも基準がありますので、官公庁の物件ではこちらに準じて設計をする場合があります。

人数算定法で予想給水量を求める手順

  1. 対象人員を算定 N:給水人員(人)=建物延べ面積(㎡)×有効面積の割合(%)×有効面積当たりの人員(人/㎡)
  2. 1 日当りの予想総給水量:Qd(ℓ/day)=〔1 日平均使用水量〕×〔給水人数〕
  3. 時間平均予想給水量:Qh(ℓ/h)=Qd/T ( T:1 日平均使用時間 )
  4. 時間最大予想給水量:Qm(ℓ/h)=Qh×1.5〜2.0(通常は2とする)
  5. 瞬時最大予想給水量:Qp(ℓ/min)=Qh ×1.5〜2.0/60min(通常は1、5とする)

空調設備やプールなどがある場合は別途加算する必要があります。

②設置する器具数から算出する方法

人員での給水量を算出することが難しい場合は、器具の個数によって算出することがあります。

器具数から使用給水量を算出する方法

  1. 計画された衛生器具類を種別ごとに分類する。
  2. 衛生器具の種別ごとに、それぞれの使用水量を算出します。
    Qd=Qg×F×P
    Qd:1日当たりの給水量(L/日)、Qg:器具の使用水量(瞬間最大流量)、F:器具数(個)、P:器具の同時使用率(%)
  3. 衛生器具別にそれぞれの使用水量(瞬時最大流量)を合計します。

    ※空調設備等がある場合は別途加算します。

上記で給水量を算出する場合には同時に使用される割合同時使用率)を考慮します。

③建物の延べ面積から算出する方法(建物用途別延べ面積当たり給水量)

詳細な平面等ができる前の段階である、マスタープランや概略設計の段階では、かなりアバウトな算出方法で給水量を算出します。
それが、簡易概算給水量算定法です。

下の一覧のように建物用途ごとで設定された単位面積当たりの概算給水量に建物面積を乗じて使用水量を算出します。
あくまでも概略的な数値ですので、建物の計画初期の段階で用いられます。

この記事のまとめ

使用給水量の算定は衛生設備の設計にとって重要な過程です。
より実態に近い数値を出すことで、クレームや無駄のない計画とすることができます。
設計の段階や目的によって算出方法が変わってくるので、各方法の特徴をしっかりと理解しておくことが大切です。